米マッチングフェア東京

 「米マッチングフェア in 東京」が、東京九段下のホテルグランドパレスで行われ、参加してきました。昨年に引き続き、今回、2回目の出展でしたが、セミナーでは日本一のおむすびを首都圏から世界に広げる「おむすび権米衛」の講演や、割烹料亭の老舗で日本料理の歴史を担う新宿割烹中嶋の店主 中嶋貞治氏からみたお米についての話を聴くことができました。

 日本一のお米を使ったおむすび店「おむすび権米衛」を日本だけでなく海外まで出店展開する株式会社イワイの岩井社長の話を聴くのは、実は2回目で、自給自足できるお米を減反政策で潰している日本の稲作が衰亡の危機に立たされ、米国のマクドナルドが日本で乱立する状況に義憤を覚え、20年前に前職の住友商事を辞して起業したという、この方はビジネスマンというより国士だと思いました。父親の教えにより宵越しの銭は持たない、世のため人のために持てるお金と命を使い、日本の田んぼを再生する事業をするという志で日本一のお米を使って世界一のおむすびの専門店を首都圏から海外展開することにより、お米の需要を創造しています。有機栽培米と減農薬減化学肥料栽培米で食味の良いお米を全国から選び、契約農家とはWin-winの関係で安定価格保証とその農家が農地を増やすための投資ができるような高価格(有機栽培米 30,000円/俵、減農薬減化学肥料栽培米 21,600円/俵)でお米を買い取っています。

 おむすび権米衛のおにぎりはパリやニューヨークへ出店して大成功となり、日本一のおにぎりは世界一、ヘルシー、グルテンフリー、安心安全だと口コミが広がり、売上が毎年倍々で伸びており、今後は海外出店により力を入れて活路を開いていくとのことです。お米の生産者には最低でも減農薬減化学肥料栽培で日本一おいしいお米を作ることにこだわって欲しいというメッセージでした。日本米価格は海外米の5倍もするので「そこそこ・まあまあ」レベルのお米では海外米には敵わないため、今後、市場で淘汰されるとみているそうです。閉塞感の漂う日本で久々にインパクトのある人を見ました。

 続いて祖父は、かつて北大路魯山人が料理長として雇った一流料理人でその系譜を受け継ぐ新宿割烹中嶋の店主である中嶋貞治氏の講演では、お米の生産者が高価格で作りやすいお米を売りたいのに対し、消費者は低価格でこだわり(ストーリー性)のあるお米が欲しいという意識ギャップの差をどう埋めるかが問題という話でした。世の中のトレンドが、こだわりのあるお米が、量より質、美味少量、廉価、時短というなかで生産者がこれにどう応えていけるかが問われています。コメの需要を増やしていくためには学校給食で米粉麺などの普及PRもすべきということでした。

 米マッチングフェア大阪と東京に参加して感じたのは今までの体制を守るのではなく、攻めに転じる・変革に動く時期に来ていると感じました。国内の家庭用米市場が衰退していく中でどのように活路を開いていくか、先に動いている生産者・外食業者の話を聴いて、弊社も今後、自社米のブランディングをどのような戦略で臨めばいいか、行動が求められています。