大豆が育つまで

栄養価が高いのに、カロリーが低い健康食材である大豆。納豆や豆腐の原料になることから、古くから日本人の食生活には欠かせない存在になっています。大豆にはいろいろな種類があります。実は、未熟な状態で収穫したものが「枝豆」です。また、当社の味噌にはリュウホウという種類の大豆が使われていますが、そんな大豆の育つまでをご紹介します。

巨大な大豆播種機

大豆の種を播く機械は日本で1つしかないという巨大な機械を使います。写真は12条播きの大豆播種機です。世界の農業機械と施設をリードする米国のAGCO社の傘下にある農耕用トラクターの著名ブランドであるマッセイ・ファーガソン社のフラッグシップです。


大豆の種

次に大豆の種を12条の播種機に補充します。満タン状態で約10町歩(10ha)の畑に大豆の種を播くことができます。


大豆の種ってどういうものかなと覗いてみると、これが鮮やかな青色!

発芽した大豆はカラスや鳩などに餌として狙われやすいので農薬をコーティングしているとのこと。こうすることで大豆の種がカラスや鳩などに食べられないようにしているのです。


トランスフォーマー出陣!

大豆の種を補充したら、本当にトランスフォーマーみたいに12条の播種機が折り畳みはじめました。


まるでトランスフォーマーです!


いざ出陣!



見事な機械の連携作業

写真はこれから大豆の種を播く圃場でストーン・クラッシャーという機械を使って石を砕く作業です。圃場にある石を砕いて細かくすることで、播種機等の機械の破損が少なくなります。

石の多い畑地でこの作業をすれば、地面の表面に石が出てこないので機械の損傷が抑えられます。この作業は非常にゆっくりと進んでいきます。



その頃、圃場では複数の機械が動き回っていました。

この機械は土地を耕しています。大豆の播種作業の前工程に耕起(こうき)と砕土・整地(さいど・せいち)があります。耕起の目的は

①土の膨潤化

②除草

③天地返し

④堆肥の鋤き込み(団粒構造の実現)

⑤乾燥防止

⑥鋤床の破砕

などです。

当社は、不耕起播種もできるので、耕起作業を省略することができるのですが、不耕起播種を続けると畑が堅くなってしまい、作物の根張りがよくありません。



その後はこの機械が登場して、砕土・整地をしています。畑を起こしたばかりの状態は表面が凸凹していて土も粗く、ゴロゴロしています。それを細かく砕き平にするのが砕土・整地作業です。

播種した後に除草剤散布(土壌処理といって、これから出てくる草を防ぐ除草剤)をするのですが、土が粗いと効果が下がるのです。加えて、大豆は茎の根元にも莢(さや)がつきますので収穫時は地面ぎりぎりに刈り取りを行うため、畑の表面が凸凹だと刈り取りに苦労します。

動画は、カルチベータといって耕起による粗起こしだけでなくディスクもついている農業機械を使って砕土・整地作業を行っているものです。



排水性の悪い農地には暗渠(あんきょ)作業を行います。

暗渠とは「地下に埋設したり、ふたをかけたりした水路」のことです。つまり、なんらかの手が加えられて水面が見えなくなってしまった川や水路のことを暗渠というわけです。

農業でいう暗渠排水は、水はけが悪かったり、地下水の水位が高くてぬかるみがちな農地に土管などを埋めて水を集め、地下の水位を適切な高さに保ちながら、水はけを良くするという技術のことです。私達は普段、あまり意識しませんが、農耕地の下には見えない水管が走っているということです。

 

写真は重機を使って溝を掘っているところです。

肥料は、水や空気に触れ、酸素を取り込むことによって効くのですから、最終的には、いかに土の中に空気を入れてやるかというところにたどり着きます。暗渠排水も、そのための手段に過ぎないので暗渠排水を施工して終わりではなく、水はけの良くなった土をどう利用して収量アップにつなげるか、良い土壌を保つ営農をいかに続けていくかも重要となります。


このトラクタは肥料散布をしているようです。GNSS(Global Navigation Satellite System/ 全球測位衛星システム)ガイダンスによる自動操舵付きで、ブロードキャスタも計量器が付いていて、面積あたりの散布量を設定すると、そのとおりに自動で散布されるスグレモノです。

作物の生育には多様な栄養素が必要です。そして、そのいずれかが欠けたり、大きく偏ったりすることで生育不良や様々な病害を引き起こします。これらを適正に整え、健康な状態を保つことが大切です。

pHによって養分の溶解性が変わるため、作物ごとに生育に最適なpHが異なります。適正な施肥を行うことで良好な生育環境をつくることができます。


肥料散布をした後は、填圧を行って播種床を造成します。

動画は、ケンブリッジローラを使った填圧といって、大昔から先人たちの知恵と経験で培われてきた作物の育成を促し、より大きな収量を得るための必要不可欠な工程です。播種前のロータリーやハローなどで膨軟化した圃場を締めることでより正確で均一な播種深度が得られます。また、圃場表層土の流出を防ぎ、より均一な乾燥を促進します。大小のリングローラーが適度に砕土、鎮圧を行い、圃場の起伏に合わせて整地を行います。土が締まることにより、土壌処理の効果がさらに上がります。


土を耕す機械と肥料を撒く機械の見事な連携作業!


トランスフォーマーが来て、大豆の種を播きます。



除草剤散布しています。


1~2週間で芽吹いてきます。大豆は成長が早いですね!

6月中旬の大豆畑です。


7月下旬の大豆畑はもうこんな感じです!


8月下旬の大豆畑です。地面の見える隙間がないくらい大豆が成長しています。


9月中旬の大豆畑。大豆畑に小麦の種を播いています。立毛間播種(りつもうかんはしゅ)と言って、弊社の場合、二年三作あるいは三年四作(大豆―小麦ー蕎麦)を可能にする方式です。


木々が色づき、いよいよ秋も深まった10月下旬頃、稲刈りがひと段落したら(終わった訳ではありません)、大豆の収穫時期です。葉や鞘が黄色くなってきます。一見枯れているように見えますが、鞘の中では少しずつ枝豆から大豆に変身していきます。完全に葉が落ちて茎も乾いた頃に、鞘を振って中で豆がカサカサと音がするようになったら根元から収穫します。葉っぱがついているとまだ水分量が多くて、保存するときにあまり良くない、コンバインが目詰まりを起こすとかで、茎が茶色くなるまで待つそうです。


コンバインで大豆を収穫の写真ですが、下に見える緑のものは小麦です。先ほどお伝えしたように、立毛間播種で大豆の畑の上から小麦の種を播いて小麦畑が成長しているのです。収穫した大豆は乾燥・調製を経て、検査を行い、出荷されていきます。



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