小麦収穫祝いと七夕にそうめん

 小麦の収穫が佳境を迎えています。毎年、この時期は梅雨で合間を縫いながらの収穫作業です。雨が降ったりやんだりだと動かせないコンバインもあり、小麦収穫できる日を選んで行わなければならないので難しい作業です。お天気とにらめっこしながら、小麦収穫できる日は深夜まで及ぶこともあります。意外に知られていませんが、七夕の行事食は「そうめん」なのです。七夕は麦の収穫祝いも兼ねており、千年も前から七夕の行事食になっています。節供に旬のものを食べ、邪気を祓ったり、無病息災を願ったりする風習はたくさんありますが、夏においしいそうめんを食べるのもそのひとつで、麦は夏の体調管理に欠かせないものとされ、小麦からつくられた、そうめんは暑さで食欲が減退するこの時期にぴったりで、天の川や織姫の織り糸に見立てることもできます。

 そうめんのルーツは、中国伝来の「索餅(さくべい)」という小麦粉料理だと言われています。索には縄をなうという意味があり、縄のようにあんだ小麦粉のお菓子のようなものだと考えられています。古代中国に「7月7日に死んだ帝の子が霊鬼神となって熱病を流行らせた。そこで、その子の好物だった索餅を供えて祀るようになったことから、7月7日に索餅を食べると1年間無病息災で過ごせる」という伝説があり、奈良時代に日本に伝えられると、麦の収穫期に麦餅をつくる風習とともに宮中行事に取り入れられ、一般にも広がっていきました。やがて、索餅はそうめんへと変化し、七夕にそうめんを食べるようになりました。他にも、小麦粉は毒を消すという言い伝えを由来に、健康祈願をするという説もあります。

 また、そうめんを織姫が使う糸に見立てて「芸事(機織り)」が上手になりますようにと願いながら食べるという説もあります。そうめんを茹でたら、そうめんを天の川に見立てて、七夕にちなんだトッピングをしてみませんか。夏野菜のオクラは、輪切りにすると切り口が星の形になって七夕にピッタリ。人参やキュウリなどを星形の抜き型で抜いて散りばめると、色とりどりの星がきらめく天の川の出来上がりです。織姫と彦星に見立てて、子どもたちの好きなハムやかまぼこなども添えてみてもおいしく食べられます。笹を飾ると風流ですね!

 実は、もともと七夕にそうめんを食べる風習は地域限定のものだったそうで、仙台を中心とした東北地方と、北海道では古くから食べる風習があるようです。そうめんが行事食となった由来の伝説や言い伝えにちなんで、未来を担う子どもたちの時代にも末永く引き継いでいきたい、7月7日に行事食としてそうめんを全国に広めたいという思いから、全国乾麺協同組合連合会という乾麺メーカーの団体が昭和57年から7月7日の七夕の日を「そうめんの日」と定めて普及活動に取り組んでいます。当社も自社小麦「銀河のちから」と「ネバリゴシ」を使ってつくられたそうめんがあります。自社米「ひとめぼれ」が3%配合された食感が他にはない特徴で大人から子供までみんなが大好きなそうめんとして愛され続けています。七夕のそうめんはオリジナリティーのあるつゆで食べる方が多いようで生のトマトやトマトジュースを足したり、ごま油をほんの少し足してみたり、面白そうなものがいくつもありました。そうめんの楽しみ方はアレンジ自在なのでチェックして試してみてください。今日は七夕、小麦の収穫祝いを兼ねてそうめんを食べましょう!