新盆と旧盆

 お盆は、全国各地で先祖の霊を迎え入れ、また送り出すための盆踊りや祭りが開催される時期です。今年は新型コロナウィルスの影響で中止となる地域も多いようですが、夏の風物詩ともいえるお盆が地域によて時期が異なることをご存知でしょうか?お盆は7月のお盆である新盆(7月盆)、そして8月のお盆である旧盆(8月盆)の2つがあります。

 全国的に見ると8月に行われる旧盆が主流ですが、7月15日を中心として行われる新盆が主流の地域もあります。お盆の時期が異なる理由は、明治時代に行われた改暦が関係しています。改暦は明治時代に暦の国際基準化を目的として行われました。改暦に伴って日本の各行事は30日遅れとなり、もともと旧暦の7月15日に行われていたお盆も、改暦後には新暦の8月15日に行われるようになりました。現在、新盆は東京を中心とした一部地域のみで、大多数の地域は旧盆です。東京は新盆、その他は旧盆と、お盆時期のずれが定着した理由は諸説あり、農業が盛んな地方の7月は農繁期で忙しいため、1ヶ月遅らせてお盆を行った説などがあります。なお、新盆と旧盆の内容自体にほとんど差はなく、地域による差の方が大きいと考えられます。

 新盆の地域は、多摩地区の一部を除く東京、横浜の一部、函館、金沢の旧市街地が7月にお盆を行っており、今日13日が迎え盆となっているところがあります。新盆の地域では、7月15日を中心に様々な祭りが行われます。基本的には7月15日ですが、前後の土日にずれる場合もあります。8月にお盆を行う地域は、新盆の地域と変わり盆の地域を除くほぼ全国で、日本では旧盆がスタンダードになっています。旧盆の地域の多くでは8月15日をお盆の中心と考え、8月13日から16日まで4日間にお盆の催しや風習が行われます。京都のように8月7日からお盆の始まりを迎える地域もありますが、8月15日が中心であることは変わりません。

 日本各地でお盆に行われる先祖の迎え入れ・送り出しの行事や風習は地域によって異なります。新盆の地域では7月がお盆時期のため、七夕まつりとお盆の行事が一緒に行われることもあるようです。一方、旧盆の地域では、特に京都のお盆行事が有名です。8月15日を中心に、8月7日の先祖の迎え入れに始まり、8月16日の送り出しまでに様々な歴史ある行事が行われます。お盆最終日である8月16日に行われる「五山の送り火(大文字焼き)」は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。五山の送り火は京都における先祖の送り出し行事として、お盆の風物詩となっています。日本各地のお盆の行事や風習、歴史の違いを知ることは、先祖の供養について改めて考える良い機会となります。お盆休みを機に自分の先祖のいる地域と他の地域の、供養の仕方、お盆行事や風習の違いを確認してみてはいかがでしょうか。