葉月

 明治初期より陽暦(新暦)を採用した日本では、12ヶ月を1月~12月の数字で表しています。しかし、それ以前は、季節感がわかるような和風月名で各月を表現しており、その8番目の月を「葉月」としていました。現在でも、陽暦(新暦)8月に当てはめ「葉月=8月の別名」として用いています。陰暦の8月は、陽暦の8月と時期が違います。陽暦は陰暦から1ヶ月ほど遅れています。陰暦の8月は、陽暦の8月下旬から10月上旬頃に当たるのです。

 葉月は「はづき」と読みます。「葉落ち月(はおちづき)」が「葉月(はづき)」に転じたとも言われています。現代の9月にあたる葉月は、落葉や紅葉が始まる時期。それが「葉落ち月」と呼ばれるようになったのではないかと言われています。他にも、シベリアから雁が越冬のために渡ってくる月であるため、「初雁月(はつかりづき)」が転じて「はづき」になったという説、稲の穂が張る月である「穂張り月(ほはりづき)」「張り月(はりづき)」が転じたという説があり、いずれにしても当て字の可能性は否めず、正式な語源は未詳とも言われています。

 葉月には、別名や異称で表される様々な呼び名があります。中秋(ちゅうしゅう)の名月ともいわれ、陰暦では、7月から9月が「秋」になります。このため、8月である「葉月」が、秋の真ん中の月になるため「中秋」とも呼ばれます。また、この時期にシベリアからの渡り鳥の雁が来る月であるため「雁来月」とも呼ばれます。逆に燕が南方へ去っていく月であることから、「燕去月」とも呼ばれます。南方からの強い風、つまり台風の季節であることから「南風月」とも呼ばれます。稲の穂が大きく育ち、張ってくる月であることから「穂張り月」とも呼ばれます。その他に秋風月(あきかぜづき)、観月(かんげつ)、建酉月(けんゆうづき)、壮月(そうげつ)、竹春(ちくしゅん)、月見月(つきみつき)、紅染月(べにそめづき)といった別名があります。

 陰暦の秋となる葉月は仲秋とも呼ばれており、この時期の十五夜が「中秋の名月」といわれるのこはこのためです。月の満ち欠けや、渡り鳥の往来など、自然との関わりが和風月名にも反映される陰暦のなかでも、葉月は特にその色合いが強いように感じられますね。9月が長月と思われていた方もいるかと思いますが、まだ葉月の真ん中なのでこの機に覚えておくと良いでしょう。