招き猫の日

 9月29日は「招き猫の日」というのをご存知ですか?招き猫の愛好団体である日本招猫倶楽部が制定しました。日付は、「くる(9)ふ(2)く(9)」(来る福)と読む語呂合わせから来ています。招き猫の魅力をアピールし、多くの人に福を招いてもらうことが目的です。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。この日を中心に、三重県伊勢市の「おかげ横丁」の「来る福招き猫まつり」など、全国各地で記念行事が開催されています。

 招き猫は、前足で人を招く形をした、猫の置物です。猫は農作物や蚕を食べるネズミを駆除するため、古くは養蚕の縁起物でしたが、養蚕が衰退してからは商売繁盛の縁起物とされてきました。縁起物の招き猫には、右手をあげた猫と左手をあげた猫の二種類があります。「右手」はお金や福を呼び、「左手」は客などの人を招くとされています。全国一の生産地である愛知県常滑市の業者によると、1997年春頃から「右手」の注文が増え始め、従来の「右1:左9」の比率が「右7:左3」になったそうです。招き猫発祥の地とされる東京・世田谷の豪徳寺でも同じ傾向だそうです。まれに両手をあげている招き猫がありますが、両方の福が欲しいという欲張りな招き猫で縁起が良くないとされることもあります。

 招き猫のバリエーションは様々です。まず、招き猫を良く見ると耳の横に手がある招き猫や、耳よりもっと高く手が伸びている招き猫など、手の挙げ方は様々です。挙げている手が高ければ高いほど、遠くの福やお客様を招くとされていて、福をより多く招くとされています。招き猫の色も今や赤に金色、紫に黄色など、色とりどりの招き猫があります。それぞれにご利益が異なるみたいです。ベーシックな白色の招き猫には「開運」を招くとされています。風水では全体の運をアップしてくれる色とされて、昔の招き猫はほとんどが白色でした。リビングなどに置くと気分がリフレッシュされるそうです。金色や黄色の招き猫には「金運アップ」に効果があるとされています。西側に置くと良いとされ、招き猫を置く場所が汚れていると、金運は逃げてしまうので、いつもきれいに掃除をすることを心がけましょう。西側の他にも太陽の当たる場所でもOKだそうです。

 黒色の招き猫には、「魔除け」のご利益があるとされており、店先や玄関などに置くと良いそうです。赤色の招き猫もあるそうで、「無病息災」を招くとされています。健康で元気でいられるとされているので、デスク周りやリビングなどに置くと効果を発揮してくれるかもしれません。ピンク色の招き猫には、「恋愛」のご利益があるとされ、女性が好み、南西に置くと女性がイキイキすると言われています。また、ピンク色には若返りの効果があるとされ、毎日眺めていると若々しくそして素敵な人との出会いが期待できるそうです。青色の招き猫には、「学業向上」のご利益があるとされており、受験中の子供部屋などに置いていると集中力がアップして勉強が進むとされています。緑色の招き猫には家内安全や交通安全といった「平穏無事」のご利益があります。風水では、心の平和を保つ色とされていて、南に置くと良いそうです。

 その他、素材にバカラや九谷焼を使ったものがあり、猫ブーム到来にあわせて、猫好きな人の人気を集めて、多種多様な招き猫が作られるようになりました。海外でも日本文化が広まり、海を渡り、招き猫は広まっています。春節には多くの中国人が来日して、招き猫を爆買いしていったそうです。アメリカでは"welcome cat", "lucky cat"と呼ばれ、日本の招き猫とは手招きが違っており、目もブルーで、千万両がドルになっているそうです。猫が硬貨を持っている"dollar cat"という招き猫もいるそうです。招き猫の世界を知ると、とても興味深いです。その時代ごとに招き猫が進化し、現在では猫ブームで招き猫もバリエーションが広がり、また猫がとても愛されている時代なのですね。愛知県瀬戸市や岡山市には招き猫のミュージアムもあるそうです。みなさんも是非、招き猫の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。