食と野菜ソムリエの日

4月9日は「食と野菜ソムリエの日」です。「し(4)ょく(9)」と読む語呂合わせから、この日を野菜や果物のある豊かな食生活を提起する日として、日本ベジタブル&フルーツマイスター協会(現:一般社団法人 日本野菜ソムリエ協会)が制定しました。野菜や果物の魅力を伝える人材(野菜ソムリエなど)を通じて、食を楽しむ社会の実現をアプールし、食事に関して考え、家族と食事をすることを目的とした日とするそうです。現在の日本野菜ソムリエ協会は、東京都中央区築地に事務局を置き、様々な取り組みを行い、「食を日常的に楽しめる社会」や「農業を次世代に継承できる社会」を創造することを目的としています。確かに野菜や果物を日常生活の食事にいかにうまく取り入れているかは、健康につながるだけなく、食事の豊かさにもつながる重要な点ですね。

 「野菜ソムリエ」は、同協会が認定する民間資格ですが、毎日の食生活に欠かせない野菜や果物の目利き、栄養、素材にあった料理法、盛り付け方などの幅広い専門知識を持っていることを認定します。野菜ソムリエの使命は、生産者と生活車の架け橋となることです。資格認定は2001年8月にスタートし、日本全国に5万人以上の有資格者がいるそうです。ソムリエというとワインだけかと思いきや、今では様々な分野のソムリエが誕生しています。日本雑穀協会の「雑穀ソムリエ」をはじめ、「パンのソムリエ」「酢ソムリエ」「芋ソムリエ」「花のソムリエ」「茶ソムリエ」「カレーソムリエ」「クールビズソムリエ」「本のソムリエ」「家造りソムリエ」「温泉ソムリエ」など数えればきりがないくらい出てきています。なんでこんなにソムリエが濫立してしまったのでしょうか。

 地域団体商標制度がスタートして、日本中にいろいろな食物に産地の冠を架した商標ができ、商標だらけになってしまいました。職業として食を扱っている以上、その食物の特性ぐらいは知っていて当たり前だと思うのですが、ちょっとした知識でソムリエとか大層な名前をつけるのはどうなのだろうかと思ってしまいます。野菜ソムリエの使命は、生産者と生活者の架け橋となることだそうですが、それだけプロと呼べるほどの職業人が業界にいなくなってしまったということなのでしょうか。いちばんおいしい食べ方は生産者がいちばんよく知っていると言われますが、本当なのでしょうか。お酒の世界ではワインソムリエに対抗して日本酒は「きき酒師」という資格があるそうですが、お客様に対して料理にあう銘柄や飲み方をアドバイスでき、地元の日本酒愛飲者を育てていこうという目的があるので、これなら理にかなった地域の日本酒業界の成長戦略だと思います。農業界にはそれがないのが残念ですね。

 野菜や果物は私達の健康維持にはなくてはならない食品であり、毎食、あるいは毎日食べるようにしたいものです。また、特定の野菜や果物にこだわらずに、多種類を摂取したいものです。しかし、野菜嫌いは子供だけの問題ではなく、大人の中にも多いのが実態です。果物はめったに食べない人も少なくないです。その一方で、テレビなどである野菜や果物が身体にいいと報道されると、たちまちスーパーや八百屋の店先から売り切れてなくなるという現象も見られます。野菜や果物を食べない人も、特別な野菜や果物だけを食べている人も正しい野菜や果物の食べ方を知っておくことは大変重要なことだと思います。弊社の経営理念には「食を通じて大切さと楽しさを」という一節がありますが、食に携わる職業人としてただ作って売るだけでなく、広く社会にその価値、知識をしっかりと伝えることが大切であり、価値訴求の努力を怠るとたちまちに衰退していくのだろうと思いました。